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2018.06.30 (土)

「 日本が非難浴びる国連の慰安婦問題議論 資金力活かし道理や公正さを説くべきだ 」

『週刊ダイヤモンド』 2018年6月30日
新世紀の風をおこす オピニオン縦横無尽 1237
 

トランプ米政権が6月19日、国連人権理事会からの脱退を表明した。パレスチナ問題でイスラエルに対する偏見の度合いが過ぎているという理由だ。

「朝日新聞」は6月20日夕刊の1面トップで同件を、「また国際協調に背」という見出しで報じた。パレスチナ対イスラエルの問題に踏み込むつもりはないが、朝日流の批判だけで済む問題ではないだろう。国連人権理事会に日本も言いたいことは少なくないはずだ。

クマラスワミ報告はその一例だ。国連人権委員会(国連人権理事会は2006年に国連人権委員会が改組されてできた)の特別報告者であるクマラスワミ氏は、日本軍は慰安婦を「性奴隷」にし、反抗する女性たちをトラックで山に運び、池を掘り、毒蛇で一杯にし、女性たちを裸にして池に突き落として死なせたと報告した。完全な作り話だ。

その2年後、同委員会はマクドゥーガル報告「現代的形態の奴隷制」を承認したが、クマラスワミ報告に輪をかけた酷い内容だった。慰安所を「レイプ・センター」と断じ、「奴隷にされた女性たちの多くは11才から20才」「厳しい肉体的虐待」で「生き延びた女性はわずか25%」と報告した。マクドゥーガル氏も国連人権委員会特別報告者である。

日本人としてこのようないわれのない非難を浴びるのは耐え難い。しかし、国連での慰安婦問題の議論では、いつも右の両報告が土台になっている。結果として日本は屈辱的かつ不条理な非難を浴びることになる。

この他にも昨年は国連人権理事会特別報告者のジョセフ・ケナタッチ氏が「テロ等準備罪」は表現の自由を不当に制約する悪法だと、日本政府を非難した。圧倒的多くの国々では日本よりはるかに厳しい法律を備えているが、彼はそのことには触れない。

同じく特別報告者のデービッド・ケイ氏は慰安婦問題を含む歴史問題の「解釈」に日本政府が介入し、事実を曲げていると非難した。事実を曲げたのは彼ら特別報告者であり、彼らに誤った情報を吹き込む運動家や左翼系弁護士であり、彼らの活躍の主舞台となっている国連人権理事会である。

こんな状況に日本はどう対処すべきか。埼玉大学名誉教授の長谷川三千子氏は、国連人権理事会に蔓延する活動家の悪質な言説に学者や研究者は引っ張られてはならないと訴える。その上で希望は若い世代だと語る。

「たとえば朝日新聞に寄稿したり、旧民主党系政治勢力を支持する若手学者や研究者の中に、少数ですがイデオロギーよりも事実に基づこうとする人々がいます。彼らは運動家の言説に引っ張られる人々ではない。迂遠かもしれませんが、彼らに働きかけたい」

確かに正道だが、時間がかかるだろう。国連人権理事会に度々足を運び「慰安婦は性奴隷だ」と吹聴してまわる日本人の学者、弁護士、運動家らと対決してきた衆議院議員の杉田水脈氏は、より直接的な行動が必要だと語る。

「日本政府は国連人権理事会への対処を真剣に考えるべきです。人権理事会の背後で、中国や韓国政府の資金が使われ、反日決議を後押ししていると感じます。日本人は国連や国際条約の『権威』に弱く、そのまま受け入れがちです。国際条約ゆえに外国人の日本国土の買収を阻止できないと考える結果、国土は奪われ続けるのです」

力がある米国は力に任せて脱退もできる。安全保障を米国に頼り、拉致問題解決にも国連の決議を必要とする日本には、逆立ちしても脱退する力はない。国民気質から見てもその道は支持されないだろう。しかし、日本は高額の資金を国連人権理事会にも国連にも拠出している。その力を使うのだ。その上で国連はじめ国際社会に、道理や公正さという価値観を説く日本に、まず、なることだ。

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